September 20, 2010

2010/9/20 1:23日本経済新聞

自治体、企業広告募る パソコン・名刺・封筒に
2010/9/20 1:23 ニュースソース 日本経済新聞

職員が使うパソコンや給与明細、名刺まで――。不況による税収減を背景に、企業広告を積極的に導入する自治体が増えている。地元企業の広告を掲載して地域振興を兼ねたり、広告付きの備品を寄付してもらい経費節約をはかったり。肝心の広告主の確保に苦労する自治体も少なくないが、担当者らは「少しでも財政の助けになれば」と意気込んでいる。

 出勤した職員がパソコンの電源ボタンを押すと、画面の半分以上を覆うように大手銀行の企業広告が現れた。コンピューターウイルスの仕業ではなく実は職員向け広告で、兵庫県が7月から始めた取り組みだ。

 掲載料は月約10万円。パソコン起動時に10秒間広告が表示され、1カ月ごとに入れ替わる。庁舎内のパソコンは約1万台あり、「職員が毎日見るので効果は大きい」と情報政策課。

 既に企業から問い合わせが数件ある。同課の担当者は「たかが10万円と思われるだろうが、それだけ財政が苦しいということ」と打ち明ける。

 長野県宮田村では2008年4月から職員の名刺の裏に広告を掲載。広告主を地元企業に限定し、今年は観光ホテルや地ビールメーカーなど5社分を印刷している。当初は職員から「使いにくい」との声もあったというが、「最近は村おこしになると考え、名刺を手渡す際に裏面の広告を紹介する職員が多い」(総務課)。

 広告付きの備品を企業に寄付してもらうケースも増えている。西宮市では07年から、市立図書館で発行する貸出票の用紙を市内の歯科医院からの現物の寄付でまかなっている。神奈川県厚木市も業務用封筒を企業からの寄付で調達。いずれも広告入りで、年間数十万~百数十万円の経費節約になるという。

 ただ、広告主の確保には苦労も。07年から職員の給与明細書に保険会社などの広告を載せている千葉県松戸市。今年6~11月は3つある広告枠のうち2枠しか埋められず、12月以降の広告主を探すため、人事課の職員数人が企業に営業の電話をかけ続けている。

 職員の一人は「経理担当なので営業をするとは思ってもみなかったが、これも市のためなので……」と複雑な様子だった。

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